ワイン好きな象と猫

フランス生活の忘備録

カサゴ



日曜日の朝のカフェ、

体格の良くどこか武骨なムッシュが多い気がした。


あのムッシュ達は平日は漁に出ているのだろうか。そんな事を考えながら駅から港までの道を歩いた


写真祭のあるアルルに行く途中、マルセイユによった。


マルセイユはフランス最大の港町だ。港町で生まれた私はマルセイユにどこか懐かしさを感じた


埋め立てたであろう平地と、うんざりするような坂道、港の先に広がる海が景色に開放感を与える。


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港に着くと小さな露天の魚屋さんがいくつもあった。


旅行中、私はその土地の魚屋さんを見るのが好きだ。その土地で食べられる魚とその土地で自然に取れる魚をいっぺんに見る事が出来る気がする。


カサゴや伊勢エビなど岩場で取れると思われる魚が多かった。


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雑魚コーナーだろうか、小さいがとても安い魚が漁師町さを感じさせる


カサゴを見て、父とカサゴ釣りに行った事を思い出した。


一年に一度か二度父と釣りに行った。カサゴは小さくても美味しく食べられる。良い出汁が出る、味噌汁で食べるのが好きだ。


あるカサゴを釣りに行った日。

全く面白いほど何も釣れなくて、気落ちした私と父は、慰めに帰り道スーパーに寄った。父はビールを、私はお菓子を買おうとしていたと思う。そんな時父が


「この鯛ば買って、おいたちが釣ったことにしよう」


立派な鯛だと怪しいので、私と父でも釣れそうだと一瞬思わせるような連子鯛を買いクーラーボックスへと入れた。


多分、私がイタズラ好きなのは父譲りだと思う。


帰り道、母にどうやってそれらしい話をするか車内で話しながら帰った。

さっきまでの気落ちした気持ちは無くなっていた。


気分というのは自分では変えれないものだと思ってしまう。


でも少しの遊び心で気分は変えられる。そういう時もあるんだ



などと考えながら



到着早々クレジットカードを失くし

落ちた気分をなんとか変えようとしたのだった。