ワイン好きな象と猫

フランス生活の忘備録

le manoir

サービスの仕事が私は好きだ。元々人に親切にするのが好きだし、この人はどうしてもらうのが好きなのだろうと考えるのが好きだった。ただ気持ち的にはサービスに向いているのだが能力的にはサービスに向いていないように思う。


 
小学校から陸上と習字をやってきた。そのおかげか一つの作業に対する集中力というのはあるような気がする。それもあってか勉強はそこそこ得意である。今思うと陸上と習字は似ていると思う。最初は理想とする動作を意識して行うが、しかし意識して行ううちは力みがあったりして本番ではうまく行かない。ひたすら反復練習し徐々に動きを体になじませ、最終的には無意識に理想的な動きが出来るようにするのだ。そして周りに左右されず自分の力を出し切ることが求められる。
 
そういうのに子供のころから馴染んできたせいか、逆に他人の動作を見ながら視野を広く持って瞬時に判断することが苦手である。(バスケットやサッカーだとそういう能力が養われそうである)むしろ無心になることの方が得意であるくらいだ。
 


そしてサービスはキッチン、お客さん、同僚の動きを見て動かねばならない。自分の今までやってこなかった頭の使い方が要求される。よく「真の頭の良さとは何だろうか?」と考えさせられる。自分の場合は視野を狭く集中することに長けている。そのため勉強は苦手ではなかったが、他のサービスの人の視野の広さをまざまざと見せつけられる事が多々あるし、自分の視野の狭さ、不器用さを実感するばかりである。勉強で求められる頭の使い方とサービスの仕事で求められる頭の使い方はまた別のものであると思う。そして今自分はその苦手な頭の使い方を向上させたいのだと思う。


そしてフランスに来てサービスとして働いているのだが、やはり色々と難しい、日本語でも難しかったものがフランス語で、しかも日本では小さいお店だったので(シェフとソムリエさん、私が基本)情報伝達や意思の疎通が容易であったが、いま働いているお店ではビストロ、レストランそれぞれサービスだけで3、4人でチームを組んで仕事をしているため、いままでになかった難しさがある。

 

サッカーでいうならば(サッカー経験はないが)私は守備だけやるのが得意である(しかも私の場合状況によって対応するというより、ひたすらボールを持っている人をマークする的な仕事が得意)、日本のレストランでは状況をみて、守備、攻めを切り替える事が要求された。


しかしフランスでいま働いているところで要求すされるのは日本とはまた違う。ここでは例えるならば基本守備をするのだが、状況を見て攻めに入らなければいけないし、攻めの人を守備に呼び戻さねばならない的な感じである。

 


日本の時と似ているようであるが、結構違う。日本ではソムリエの人(スーシェフでもある)がサービスの補助をしてくれるとはいえ自分がサービス、皿洗い、注文取りを基本やっていたし、予約が多い時にサービスが二人になるときもあるが、それでも二人なのだ。空間的にも小さいお店なので意思の疎通がしやすいのだ。

 

日本では攻守の入れ替えは自分主体で出来たし、一緒に働く人の動きが常に見えていた。フランスでは空間的(テラス席、バー、テーブル席、厨房)にも人数的にも大きくなり、働く人の動きが把握しずらい中で、攻守の入れ替えをしなければならなくなったという感じだ。

 

書いていてなんだか、自分自身混乱してきた感があるので、いったんここで区切ろうと思う。 また後日補足しようと思う。