ワイン好きな象と猫

フランス生活の忘備録

タルト オ シトロン

フランスとは全く関係のない話だが
日本最古の学生寮である吉田寮の強制退去についてのニュースを最近よく目にし、やはりこれからどうなるのか一在校生として気になっている。

国内外を問わず友達に大学を案内してくれと言われたときにだいたい吉田寮を案内する。お化け屋敷のようなその外観で中に入れば独特の生活臭を感じ(つまり汚い)非日常に迷い込んだ気持ちになる。

浪人生の時、家賃などただの寝るためにそんなにお金は出したくないと常々考えていた私は、月およそ3000円の寮費と在学中にしか味わえない経験として私も吉田寮熊野寮に住みたいと思っていた。オープンキャンパスでその両寮を訪れて私は一瞬にして悟った。「ここには住めない」と汚いというのはもちろん、ここに住んでしまうとまともな学生生活が送れないというそんな雰囲気があった。(実際そうである人もいるし、そうでない人もいる)自分は住めないが存在自体はちょっと誇らしく感じていた。

吉田寮の思い出を少し書きたいと思う。吉田寮へ友人を案内していた時に庭で「シャリ、シャリ」という音がするので行ってみると、ドラム缶の上にヤギの首、そしてその横に立つ二人の学生はぶら下げたヤギの胴体から皮を剥いでる最中であった。ショッキングな映像であったことが伝わるであろうか。にっこり挨拶をしてその場を立ち去った。

吉田寮には他にも食用の?動物たちがたくさんいる。エミュー、うさぎ、にわとり、ヤギ等私が知らない動物たちもおそらくいるだろう。

 

私の好きな小説家の森見登美彦の小説に出てくる下鴨幽水荘はおそらく設定の場所こそ違えどその内観、雰囲気は吉田寮をイメージして作られたものだろう。

 

そんな吉田寮がいよいよなくなるかもしれない。大学と学生の小競り合いは今までもあったが一種の行事のようなもののようで、在学生も冷たい目で見ていた。しかし今回の大学はどうやら本気のようである。いったい吉田寮はどうなるのやら。

 

私としてはなくなるのは寂しい気持ちがするというのが正直なところである。
フランスで歴史ある建築物を見るにつけ、地震の多さや、建築の違いなど状況は違うが、歴史ある建築物を後世に残していってほしいと思う。

 

追記:下書きを書き始めて投稿するまでおよそ一カ月半が経ってしまったが、吉田寮は現  在も問題を抱えてはいるが存続しているようである。